医療DX⑥クリニックデジタル化におけるIT医療担当者の必要性①

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医療DX⑥クリニックデジタル化におけるIT医療担当者の必要性①

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医療DX⑥クリニックデジタル化におけるIT医療担当者の必要性①

[おうちで透析 インタビュー 医療DX⑥]

  • 医療法人明洋会 理事長 柴垣 圭吾 様
  • 医療法人明洋会 IT担当 臨床工学部 統括部長 市川 匠 様

聞き手:

  • 医療コンサルタント 大西 大輔(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)

市川さん: 医療現場側にシステム開発会社の専門家が持っている知識と同じものを持てという話ではなく、医療にとって何が大事なのかということをしっかり整理して、相手に「こうでなきゃ困るよ」ということを伝える、ということが大事だと思います。

また、システム開発会社側も「台帳みたいなソフトを作ろう」ということではなく、何が医療の本質的な部分で、医療現場は何を求めているか、ということを理解してくれる営業さんや上流SEさんのような人がいるかどうかが重要です。

そのため、お付き合いするメーカーさんも、結構しっかり選ばなければならないと思っています。

作られたパッケージ製品を「どうですか」と持ってくる会社もありますが、そのような製品には、正直なところ、今見てもあまり良いものはないかなと思っています。

ただそれを「御社の好きなようにカスタマイズして納めます」と言ってくれるメーカーさんのものは、最初はともかくとして、しばらくすると本当に使いやすくなります。

カスタマイズしていくことで、「これがなくなったら困るという物になる」ということは、私も経験的に学んでいます。

そういった役割に興味を持って、いろいろなことを調べて、「こんなことできないの、あんなことできないの」とメーカーさん側とコミュニケーションを取れる人がいれば、正直なところパソコンが得意でなくても良いのかなとすら思っています。

柴垣先生: 大手のITメーカー・ITベンダーほど、システム間連携を嫌がる傾向にあるので、効率化という発想が彼らには全くありません。必ずできない理由を100個並べてきます。

セキュリティがどうだとか、そんなことを聞きたいのではなく、現場としては「どうしたらできるか」ということを聞きたいのです。当惑しているのが顔に書いてありますね。

大西: これまでの20年間を振り返ってみると、最初のオーダーメイドで作るタイプからパッケージ化がどんどん進んでいって、今システム間連携が必要になってきて、クラウドの時代がやってきたわけです。

クラウドによって劇的にシステム間連携がしやすくなりました。プロトコルが作りやすかったという意味で大分前に進みました。そして、クラウドの時代になると今度は大手ベンダーがベンチャーにボロ負けしている訳です。

例えばクリニックの世界だと、デジカルとかメドレーとかそういうある意味ベンチャーたちが某有名な大きなところを凌駕していっています。

その理由はクラウド技術の発展ということが一つありますが、一番大事なことは、メーカーとクリニックのどちらかが歩み寄ることだと思います。

例えば、誰でも使えるものを作るのか、または先ほど市川さんが言ったように誰にでも使えるようにカスタマイズしてくれるのか。道はこの2つしかありません。

一番駄目なのは、誰も使えないシステムなのに、カスタマイズできません、という人です。現場も知らないのに「システムができましたけど、市川さん見てください」と言われると愕然としますよね。

市川さん: 本当に売る相手のことを考えているのかな、と思うようなものもあるのです。多分こんなものが必要だろう、と見込みで作っているのでしょうけど、「いや、こうじゃないんだよな」というものが結構あります。

大西: そのときに現場の通訳者としてIT担当者が存在していれば良いのだと思います。柴垣先生、市川さんに出会ったのは偶然なのですか、それともスカウトなのですか。

柴垣先生: 偶然です。

大西: ラッキーだったんですね。

お聞きしたいのですが、今医療IT担当者がいないクリニックさん達はどうしたら良いと思いますか。医療IT担当者が必要なのか、それともコンサルタントを雇えばいいのか。

柴垣先生: 恐らくそういう外部の人を入れるということをしないといけないかと思います。各クリニックに医療とITの橋渡しができる人がクリニックの数だけいるとはとても思えませんので。

本来はクリニックにいる人が担当するのが良いのですが、そういう外部の人もありだと思います。

ただ、医療機関が固い決意を持って、例えばペーパーレスという目標を持ってあくまでもスタッフをリードして、やり切る、という人が各医療機関にいないと、正しくやろうと思って外部から入った人だけが宙に浮いてしまいますので、注意が必要です。

優秀なコンサルタントであっても、宙に浮いてしまっていては介入しようがありません。共倒れになってしまいます。

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