楠本先生インタビュー③「腹膜透析」と訪問看護の連携

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楠本先生インタビュー③「腹膜透析」と訪問看護の連携

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楠本先生インタビュー③「腹膜透析」と訪問看護の連携

[楠本先生インタビュー③「腹膜透析」と訪問看護の連携]

  • 楠本内科医院(福岡県水巻町) 院長 楠本 拓生 様

聞き手:

  • 医療コンサルタント 大西 大輔(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)
  • 医療法人明洋会 理事長 柴垣 圭吾 様

大西: 腹膜透析のカテーテル導入は、どの医療機関にお願いしているのでしょうか。

楠本先生: 北九州エリアは、腹膜透析を導入できる基幹病院が非常に多い地域です。小倉記念病院をはじめ、産業医科大学病院、JCHO九州病院、製鉄記念病院、済生会八幡病院など、全国的に見ても腹膜透析の症例数が多い病院が近隣にそろっています。

そのため、患者さんには「これまで通院したことのある病院はありますか」「どこがよいですか」とお聞きし、すでにカルテがある病院があれば、基本的にはそこにお願いしています。

一方で、これまで特定のかかりつけ病院がない場合には、私自身が直接面識があり、連携しやすい先生のいる病院にお願いする形を取っています。

大西: つまり、腹膜透析を希望された場合、まずは患者さんがこれまで通っていた病院を優先し、必要に応じて先生から紹介する、という流れなのですね。

では、腹膜透析中の患者さんが急変したり、発熱したりした場合は、どのようにフォローされているのでしょうか。

楠本先生: 私は在宅で訪問診療を中心に腹膜透析を診ているため、契約上は24時間365日対応という体制になります。ファーストコールの対応は基本的に訪問看護師です。訪問看護師がまず患者さん宅を訪問し、状態を確認します。

患者さんの自宅には、あらかじめ抗生剤や解熱剤を在庫として処方しているため、症状に応じてその場で内服してもらいます。検査が必要な場合も、可能であれば翌日に採血を行う形にし、なるべく当日に緊急で病院へ行かなくて済むよう工夫しています。

また、外来通院のみの患者さんであっても訪問看護を導入しているため、同様に連絡体制を確保し、できる限り在宅で完結する対応を心がけています。

大西: それでも、どうしても病院受診が必要な場合は、救急車を使うのでしょうか。

楠本先生: それは患者さんの状態によります。自家用車で移動できる状態であれば、自家用車で受診してもらいます。多くの場合、カテーテル導入を行った病院を受診してもらうことが多いですね。

大西: お話を伺うと、腹膜炎が起きた場合でも、できる限り在宅で対応し、入院を避ける方針なのですね。

楠本先生: はい。腹膜炎についても、自宅に抗生剤を常備しています。基本的には腹腔内投与で治療を行うため、セファメジンやアミカシンといった薬剤を、使用期限を確認しながら常に在庫として置いています。

排液が混濁した場合には、検尿用のテストテープで確認し、白血球反応が陽性であれば、すぐに腹腔内投与を開始します。その排液は翌日に病院へ持参し、培養検査を行うため、必ず訪問看護師が持って来るよう指示しています。

大西: そのようなやり取りは、電話やFAX、最近ではSNSなどさまざまな方法があると思いますが、主にどれを使っていますか。

楠本先生: 基本的にはSNSで「メディカルケアステーション」を使っています。ただし、腹膜炎など緊急性の高い場合は、電話対応です。

大西: 施設に入所されている患者さんとの連携も、同じような形でしょうか。

楠本先生: 施設に対しても訪問診療に行っていますので、基本的なやり取りはSNSです。ただ、施設はスタッフの入れ替わりが多く、担当者が頻繁に変わるため、居宅で訪問看護が密に関わっているケースに比べると、連絡が取りづらいこともあります。

そのため、緊急時は電話、状態が安定している場合はSNSと使い分けています。

大西: こうしたコミュニティを構築する中で、大変だったことはありますか。大学病院とはまた違った苦労があったのでしょうか。

楠本先生: 確かに最初は大変でしたが、SNSは一度使い慣れてしまうと、手放せないツールになります。導入時に少し使い方を教えれば、ほとんどの訪問看護ステーションは問題なく使えます。

現在では、当院と連携する条件として「SNSが使えること」を必ず伝えています。それを前提に、患者さんの情報共有ややり取りを行う、という形にしています。

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