腹膜透析(PD)は自由度が高い?仕事・生活・家族の支え
~森田 智子 看護師(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

透析に通うのがツライと思ったら
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腹膜透析(PD)は自由度が高い?仕事・生活・家族の支え
~森田 智子 看護師(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

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腹膜透析(PD)は自由度が高い?仕事・生活・家族の支え
~森田 智子 看護師(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

仕事をしながら腹膜透析を行うことを考える時に、どんな事が問題で、逆にどんな事にメリットがありますでしょうか。

「腹膜透析」は、その方の残存腎機能(尿量)、腹膜機能、生活スタイルを考え、機械を使って夜間実施する方法(APD)、1日数回交換する方法(CAPD)、その組み合わせ(CCPD)など、どのような方法がその方の体や生活に良いのかを決めていきます。腹膜透析は仕事の時間に合わせて治療を組むということが可能なので、どのような方法であれば仕事や生活に支障なく治療ができるのかを相談して決めていきます。例えば、夜に機械に繋がってAPDを行う場合、睡眠時間が何時間取れる方なのかによってAPDの時間が決まってきます。この時間だけでは十分な透析ができなければ、どの時間にどんな透析を追加する必要があるのかを相談して決めていきます。仕事の時間が取れない、お風呂に入る時間がない、など仕事や生活が無理にならないように、どういう治療だったら可能なのかをきちんと医師と相談しながら決めていくことが重要です。仕事にも生活にも支障がなく治療が開始できる方法を医師と一緒に探っていきます。

職場でも腹膜透析は行えるのですね。

昔は「腹膜透析」は働いている人が行う、というイメージがすごく強かったです。私が看護師になった頃(数十年前)も腹膜透析を行う人は若くて元気な人、仕事をしている人というのが当たり前でした。その方たちは車の中でバッグ交換をしたり、会社の会議室でバッグ交換を行ったりしています。病院に行かなくても職場でも交換できるような環境をご自身で整えて行っている方が多いです。(チューブを)接続する機械が様々なメーカーから出ているのですけれども、それを自宅と会社にそれぞれ置いている方もいらっしゃいます。

いま新型コロナの影響で、在宅ワークやリモートワークが増えています。腹膜透析がより行い易い環境ができているのではないでしょうか。

腹膜透析は血液透析のように絶対に病院に行かなくてはいけないということがないので、(新型コロナなどの)感染リスクを減らすことができますし、負担がなく治療ができるのではないかと考えます。

少し将来の話なのですが、オンラインで在宅でサポートしてもらうことは可能でしょうか?

現在、遠隔で患者さんの「治療結果」を確認することが可能になっています。将来的には、オンラインサポートも可能になってくるのかなと感じてはいますが、やはり患者さんの治療結果だけでは十分ではありません。治療では、生活のことや心配なことを確認する必要があり、それには顔を合わせて患者さんから聞くことがたくさんあると思うのです。その部分では、腹膜透析は、すごく時間をかけて患者さんの想いを聞いていくので、そういう部分ではただの診療だけではないと私は思っています。オンラインでもいろいろ話が聞けるような環境が作れればいいのではないかと思います。

今後、APDに関して「遠隔監視」がどんどん普及していくと、エラーがあった時に助けてもらえる安心感もあります。その際、誤解がないように、見張られているのではなくて見守っている、ということを私達は患者さんにお話しています。「見守っているので何かあっても大丈夫です」と説明させていただいています。

今までの生活とは違ったことをしていかなければいけないということで、やはり患者さんも医療のことなので、何か失敗したら自分の命に関わるのではないかと不安になったり、医療者ではない自分が一人で自分で考えて治療をするということが、すごく恐怖に繋がっていると思います。ましてやご自身ではなくて、御家族の治療を担うというのは、治療を任された御家族にとってはすごく負担であったり、責任だったり、ストレスを感じたりしているというところもあります。私達(医療者)は患者さんだけではなく、実際に関わっている御家族のフォローもしていく必要があり、そのあたりのフォローがすごく大事だと思っています。

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