楠本先生インタビュー④腹膜透析は高齢者向けの優しい治療
楠本先生インタビュー④腹膜透析は高齢者向けの優しい治療
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楠本先生インタビュー④腹膜透析は高齢者向けの優しい治療
[楠本先生インタビュー④腹膜透析は高齢者向けの優しい治療]
- 楠本内科医院(福岡県水巻町) 院長 楠本 拓生 様
聞き手:
- 医療コンサルタント 大西 大輔(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)
- 医療法人明洋会 理事長 柴垣 圭吾 様
大西: 令和6年度の診療報酬でもICTに評価が付いたように、デジタル化・ICT化はやはり重要ですよね。
私たちも見ていて感じるのですが、電話が多いと先生は身動きが取れなくなります。一方、SNSであればワンクッション置いて後から確認できるので、とても助かると思います。
楠本先生: そうですね。当院には在宅支援部があり、私が外来診療中でも次々と報告が上がってきます。それをまず看護師が確認し、私が直接対応しなくてもよい内容については、看護師がその場でどんどん返答してくれます。
誰も返答していないものだけを見て、「これは自分が答える必要があるな」と判断し、後で私が対応する、というスタイルを取っています。
大西: 先生と一緒に動いてくれる看護師さんは、徐々に増えていったのでしょうか。
楠本先生: 最初は本当に一人だけでした。在宅支援部を立ち上げる際、もともと訪問看護ステーションで管理者をしていた師長さんが、別部署へ異動になったことがきっかけで、私から「一緒にやらないか」と声をかけました。
そこから一人加わり、さらにそのつながりで「一緒にやりたい」という人が増えていき、現在は在宅部門だけで看護師が5人在籍しています。
大西: 紹介の紹介というか、人のつながりの輪が広がっていったわけですね。やはりそうしたつながりは大切ですね。
楠本先生: 本当にありがたいです。良い人を連れてきてくれるのは、その師長さんの人脈のおかげもあると思います。
大西: 少し話題を戻しますが、私たちは腹膜透析を「おうちで透析」という形で普及させたいと考えています。腹膜透析のメリットとデメリットについて、先生のお考えを伺いたいです。
楠本先生: 私自身、以前は「腹膜透析は若くて自立している人が行うもの」という固定観念を持っていました。しかし、今は高齢化の時代で、高齢者であっても透析を選択しなければならない状況があります。
当院では高齢者にも積極的に腹膜透析を導入していますが、実際にやってみると、圧倒的に患者さんが楽そうなのです。本当にきつくない。移動もしなくていいですし、訪問診療を取り入れれば通院も不要になります。
最期まで、老衰に近い自然な形で看取っていけます。これが非常に大きなメリットだと感じています。私は腹膜透析を「高齢者にとって非常に優しい治療」だという点を、特に強調したいですね。
大西: もともと腹膜透析は、若い人が働きながら行える治療として始まっていますが、どのあたりから「実は高齢者のほうが向いているのでは」と感じるようになったのでしょうか。
楠本先生: 若い人で食事量が多い方の場合、体液管理が難しくなることがあります。また、仕事が忙しくて出口部の管理が不十分になり、「排液が濁っていたけど我慢していました」というケースも見てきました。
一方、高齢者はほぼ全員に訪問看護が入っているため、異変に早く気づけます。その結果、悪化や重症化するケースが少ない、という印象を持っています。
大西: 高齢者の方は、もともと食事量もそれほど多くないですしね。
楠本先生: そうですね。カリウムに関しては、むしろ低下する方が多いので、「もっと果物や野菜を食べてください」とお伝えすると、皆さんとても喜ばれます。
大西: 血液透析のときに「食べてはいけない」と言われていた方々にとっては、食べられるものが増えるわけですね。
楠本先生: そこは大きな違いですね。塩分だけは注意してくださいとは伝えていますが、それ以外は比較的自由です。
「外食して美味しいものを食べました」とか、「油っこいものを食べたら排液が白く濁りました」ということもありますが、それは楽しみの一つですし、「それくらいなら問題ありませんよ」とお話しています。







