宮崎先生インタビュー③在宅ドクターには最期まで診る覚悟が必要

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宮崎先生インタビュー③在宅ドクターには最期まで診る覚悟が必要

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宮崎先生インタビュー③在宅ドクターには最期まで診る覚悟が必要

[宮崎先生インタビュー③在宅ドクターには最期まで診る覚悟が必要]

  • 宮崎内科医院(長崎市) 院長 宮崎 正信 様

聞き手:

  • 医療コンサルタント 大西 大輔(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)
  • 医療法人明洋会 理事長 柴垣 圭吾 様

宮崎先生: 血圧が下がっても腹膜透析をやれるということを実感したときは大きな衝撃でした。

胃がんの患者さんがいて、最初は来院されていたのですが、次第に来られなくなり、往診に行くようになりました。訪問診療を行っていましたが、食べられなくなり、血圧が80とか70とかに下がり、いよいよがん死になろうとしていたときにお邪魔したときのことです。

家族の方はいつも通りにPD(腹膜透析)のバッグを変えていたのです。血圧が80まで下がっていて、その方は少し意識がある状態でしたが、いつも通りPDを行っていて、別に血圧は下がりませんでした。

その方はその中で自然に眠るように逝かれ、旅立って行かれましたが、生活の中に溶け込んでいるPDを目の当たりにした瞬間でした。

年を取った人が、いわゆる老衰みたいに、最後に自然に苦もなく家族の中で看取られて旅立っていく姿を見たとき、これは非常な利点だなと感じました。

なぜ腹膜透析が広まらないのかという質問から外れましたが、先述のように医師による「PDの宣伝」が少ないというのが一つの問題かと思います。

もう一つは、なかなか一人でできない方もいらっしゃるため、それをアシストする訪問看護師や、システムが各患者さんによって異なるという問題があるかと思います。具体的には、介護度が違う、病気が違う、家庭環境が違う、経済環境が違うなどの問題です。

血液透析は病院で行いますので、大体一定の環境でできますが、いわゆるオーダーメイドが必要な医療であるPDは、それをアジャストできる人たちが少ない状況です。

そこで柴垣先生とも勉強会を行っていますが、医療側にそういったオーダーメイドに対応できるだけの対応力というか、知識が必要になると思います。保険制度の複雑さも含まれます。

腹膜透析が広まらない理由は、そういった主な2点ではないかなと考えます。

大西: 宮崎先生のお話を聞いていて、日本では在宅医療自体はまだ始まって10年~20年で、介護保険自体もまだ20年です。制度が整っていないという感じはしますね。そこには在宅医療の難しさがあるのではないかと考えますが、宮崎先生はどう思いますか。

宮崎先生: 一つはいわゆる保険制度の規則の中で行わなければならないため、その規則をどれだけ理解しているか、という難しさがあります。医療保険と介護保険があり、ある時は医療保険、あるときは介護保険といったように、それらをうまく使い分ける必要があります。

患者さんによって、その必要度が異なるわけです。介護度が非常に高い方もいらっしゃれば、そうでもない方もいます。また、急に様態が悪くなり医療が必要になることもあり、臨機応変に対応するというのは在宅医療にある程度慣れてないと難しいです。

基幹病院の先生方は、今の地域包括医療というものをなんとなくわかっているとは思いますが、訪問看護師に指示を出したりすることは少ないと思います。

実際に現場に行かないドクターが訪問看護師の指示書を書いても、患者さんの生活を見ていないので状況が分かりません。そのようなこともあり、医師教育の中で在宅医療を学んでいくというのは難しさがあると思います。それは医者だけではなく、訪問看護師も同じです。

最近は様々な経済的理由で、訪問看護ステーションが増えたり、在宅医療をするドクターが増えたりしていますが、在宅医療は最期まで患者を診るという覚悟が必要です。

お互い協力しながらお互いの負担を減らそうという考え方が、在宅医療にはある程度必要だと思っています。関わる各々のメンバーの志というか、熱意をどう保っていくのか、という難しさもあると感じます。

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