正木先生インタビュー④腹膜透析を普及させるには?〜広まらない理由とは〜

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正木先生インタビュー④腹膜透析を普及させるには?〜広まらない理由とは〜

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正木先生インタビュー④腹膜透析を普及させるには?〜広まらない理由とは〜

[正木先生インタビュー④腹膜透析を普及させるには?〜広まらない理由とは〜]

  • 正木医院(京都市) 医師 正木 浩哉 様

聞き手:

  • 医療コンサルタント 大西 大輔(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)
  • 医療法人明洋会 理事長 柴垣 圭吾 様

正木先生: 腎代替療法の選択をきちんとできていないという問題に対して、その背景に何があるかというと、これは負のループなのですが、腹膜透析の患者さんの数が圧倒的に少ないので、医師も看護師も腹膜透析の経験が非常に浅い、場合によってはない、というような現実があります。

そうすると自分が行ったことがない治療、あるいは経験が少ない治療を患者さんに上手に説明することは難しいですし、ましてや薦めるというようなことは現実問題として非常に難しくなります。

そのようなことがあり、腹膜透析が選ばれず、また経験値が下がる、という負のループがずっとあり、どうしても腹膜透析が増えないという背景があるのかと思います。

そして、かつては私も負のループに入っていたわけですが、「腹膜透析というのは自己管理が必要で、自己管理ができる人でなければ腹膜透析は向かない」というような古い考えが未だに存在するために、腹膜透析が普及しないのではないかなと考えています。

大西: アシステッドPDをもっと評価していくという中で、訪問看護ステーションのサポートも必要かと思います。

訪問看護ステーションでは、腹膜透析をやったことがない方がすごく多く、腹膜透析と聞いた瞬間に少し手を出しにくいと感じたり、混濁があった時や管が外れてしまった時、どうサポートしていくのかわからない、という不安があったりします。

いろいろなトラブルやリスクを回避する目的で対応しない、というのも一つの考え方としてあるのかと思うのですが、アシステッドPDを普及させるためにはどうしたらいいのでしょうか。

正木先生: いわゆる腹膜透析の地域医療連携というものが必須です。

今まさに大西さんが指摘してくださったように、例えば何らかの腹膜透析のトラブルがあったときにどう対応したらいいのか、という問題を解決するにあたって、地域医療連携が重要になります。

つまり、訪問看護ステーションと訪問診療と基幹病院が常に連携を取れる体制になっていることです。

そうすれば、トラブルがあった際に訪問看護ステーションはすぐにかかりつけ医であるとか、あるいはその連携を取っている基幹病院に相談ができるし、そういうところが解決策を提示してくれます。

このような保証があれば訪問看護ステーションも腹膜透析に携わることに躊躇するということが減るかと思います。そのような地域医療連携という枠組みが、このアシステッドPDを広げていくためにはどうしても必要な仕組みであろうと私は考えています。

私は2010年から大阪で、関西医科大学と、その近隣の訪問看護ステーション、あるいは診療所、他の基幹病院と連携して、腹膜透析の地域医療連携というネットワークである京阪PDネットワークというものを始めました。

このようなネットワークを作ることで訪問看護ステーションもたくさん腹膜透析を始めてくれましたし、患者さんの腹膜透析の選択率・導入率というのも非常に増えたという事実があります。

この仕組みというのが非常に重要と考えています。

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