地域包括ケアでの在宅医療のあり方とは〜看護師の立場からみた腹膜透析〜

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地域包括ケアでの在宅医療のあり方とは〜看護師の立場からみた腹膜透析〜

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地域包括ケアでの在宅医療のあり方とは〜看護師の立場からみた腹膜透析〜

[おうちで透析 インタビュー 終末期の透析医療②]

  • 柴垣 圭吾 医師(医療法人社団明洋会 理事長)
  • 樋口 千恵子 医師(医療法人社団明洋会)
  • 森田 智子 看護師(医療法人社団明洋会)

聞き手:

  • 大西 大輔 医療コンサルタント(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)

大西: 森田さんにお聞きしたいのですが、終末期に近づいていく患者さんは、看護師の立場から見てやはりケアは段々大変になっていくものですか。

森田看護師: 例えば、自分で飲めていたお薬が飲めなくなってきたりとか、今までは自分でできてきていたことが、少しずつ自分でできなくなってきたりということがあります。「あれ?この人いつも綺麗な格好していたのに、今日は化粧もしなくて急に髪の毛もボサボサで来たな」とか、日常生活のちょっとした変化で「あれ?この人いつもと違うな、なんかいつもパジャマ替えていないな」とかというところに気が付いてきたりします。通ってきている中で「ヒゲ剃っていないな」とか。

そういうことになると「日常生活でこの人変わってきたのかな、なんかできなくなってきているのかな」というところに関して、患者さんを見て気付くところがあります。そのときは、患者さんやご家族と話しながら、「なんかちょっと最近変わったことありますか?」と聞いて、自分の事ができなくなってきているのであれば、何かの介入が必要かなというところに気付いて介入していくことは多々ありますね。

大西: 本人のADL(日常生活動作、Activities of Daily Living)もそうですが、家族のADLも変わってくると思います。だから、終末期というテーマは、全体的な日本の高齢化の問題とすごくリンクしています。地域包括ケアシステムというものが、2025年に一応完成を迎えるということで国が設計していて、私は本当にここが正念場に来ているのなと思っています。

何故かというと、団塊の世代が75歳を超えるのが2025年なんです。2025年から2040年までずっと超高齢社会が続いて、そこでやっと一段落、という国の試算です。今2021年ですからあと4年しかありません。あと4年の間に本当にこの在宅医療を何とか形にしていかないといけない。そういう時に透析医療を考えた時に、柴垣先生、何をしなければいけないのでしょう。終末期もそうですし、地域包括ケアの透析医療もそうですが。

柴垣医師: 一つには、今は一旦始めた治療を中止するのはなかなか難しいという状況があります。今後どうするのかということを考えるとき、一旦始めている治療を、変える方法があるのかどうかという問題があります。日本の場合はなかなかそれを決めるのは難しい状況です。

例えば、人工呼吸器をつけている患者さんをどうするのかということも、誰も決められない状況です。ご家族が希望してもなかなか決められない。ですので、そこは国がある程度指針を提示して、変えられるようにしていかないといけない。それから変えるということは制度が整備されていないので、今までの整備されている治療と比べると費用が掛かります。そういった問題もあるので、ある程度規制緩和をするなりしていかないと、恐らく難しいのではないかと思います。

あとは、やはり医療者の意識改革もあると思います。そういった最後の看取り方も今までのような画一的な考えではなく、いくつか選択肢があるということを国が提示して、それに向けた規制緩和なり制度設計をしていく必要があると思います。そこに向かって医療者なり介護者なりが、制度の中で運用ができるようにしていかないといけません。しかしながら、現状はそれを患者さん側が決定する、あるいは医療者側が決めるということになり、その対応はなかなか難しいと壁を感じています。

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