第二第三のパンデミックを見据えた医療変革 〜在宅・デジタル化・腹膜透析〜
第二第三のパンデミックを見据えた医療変革 〜在宅・デジタル化・腹膜透析〜
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第二第三のパンデミックを見据えた医療変革 〜在宅・デジタル化・腹膜透析〜
[対談]
- 柴垣 圭吾 理事長(医療法人社団明洋会 柴垣医院)
- 大西 大輔 医療コンサルタント(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)
大西: コロナによって日本が変わったというよりは、時代に追いついてきたんじゃないかと思うんです。社会のニーズが、「例えば高齢化が進むよ」、「在宅医療が進むよ」、というものであるにも関わらず、現場は「いやいや、まだまだ」と考えていた。そこに、コロナがドカンと来た瞬間に、「あれ?在宅じゃないと無理だ」と。その時に日本の医療も限界が来ていて、例えば今ではないですけど大部屋ってあったじゃないですか、8人部屋。透析の現場も大部屋とほとんど一緒じゃないですか。密でしかないんですよね。その時に、一人でも感染症を、コロナじゃなくても持っている可能性はこれからいくらでもありますよね。
柴垣: 第二第三のパンデミックはあり得ると思います。
大西: それがなんという名前なのか分かりませんけど、同じことを繰り返すのか、これから、備えるのか。その時のキーワードが僕は「在宅」と「デジタル化」だと思うんです。
柴垣: そうですね。国も多分そういう認識だと思います。なので変わりようがないんです。抵抗しようがないんです。国がそこに気付いているということは、我々はそれに抗うということはできないと考えています。
大西: だから制度が変わり、それによって、皆がそれに順応していく、ということを先読みするのが経営者としての重要な戦略であると思います。
柴垣: そうですね。要は患者さんのニーズ、スタッフのニーズ、それから国のニーズに応え続けていく。予想しながらです。それ以外無いと思います。
大西: 本当に、私が長く先生とお付き合いさせて頂いて一番感じでいるのはそこですね。
柴垣: 「医療は他の業界と違う」という言い方をよくされるんですけど、僕に言わせれば他の業種と比べて何の違いもないです。全部同じです。基本は、ニーズに応え続けるということです。
大西: 基本ですよね。違いがあるとすれば、違うと思い込んでいる医療者がいるということかもしれないです。医療サービスという言葉がしきりに使われるようになってきていますが、「患者様」も「患者さん」に変わってきています。やっぱり社会が「医療というサービスは特殊なものである」と考える時代はあったと思うんですよ。それが取っ払われてきた時に、横柄な態度であったり、待ち時間に無関心であったりする医療機関が多いと思います。実際今回の密もそうですね。患者からすれば、「密にしやがって」ということですよね。密の時間が長ければ長いほどそのクリニックは評価が落ちるわけですよね。そういう事を考えることがすごく大事なポイントだと思います。
柴垣: ただ、言い訳するようなことになるかもしれませんけど、我々医療者だけではなくて国も規制緩和を中心にですね、色々考えていただくとまったく違ってくるんじゃないかと思います。
大西: 次の2022年の診療報酬改定もあるし、規制改革もあるし、やっぱり期待するところですね。いかに現場のニーズを汲み上げて早く制度を変えていってほしいです。今回、コロナで分かったことは待ったなしってことですね。
柴垣: 規制緩和、それからいわゆる改革というのは、これまで必ずしも順調に進んでいない状況です。ただ私は、繰り返しになりますが、日本の経済状況がこの国を強制的に変えさせる力にならざるを得ない、そのくらいの大きな波がいま真後ろに迫っていると考えています。津波のような形でですね。
大西: それに立ち向かわなければいけないですね。本当に勇気を持って立ち向かうことが今一番大事なんだと思いますね。
柴垣: その波に飲み込まれないで生き残れるかどうかは、自分自身も100%の自信があるわけではないですが、やらざるを得ない。
大西: 波に乗れるのか乗れないのか。
柴垣: 津波に飲み込まれてしまうのか、津波の先端に乗れるのか。そのぐらいの大波が来ると私は思います。