宮崎先生インタビュー①腹膜透析との出会い・メリット

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宮崎先生インタビュー①腹膜透析との出会い・メリット

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宮崎先生インタビュー①腹膜透析との出会い・メリット

[宮崎先生インタビュー①腹膜透析との出会い・メリット]

  • 宮崎内科医院(長崎市) 院長 宮崎 正信 様

聞き手:

  • 医療コンサルタント 大西 大輔(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)
  • 医療法人明洋会 理事長 柴垣 圭吾 様

大西: 本日は、長崎県で腹膜透析の治療に取り組んでおられる宮崎内科医院の宮崎院長にお話を伺います。

宮崎先生: 長崎市内で内科として開業しています。今年で16年目になります。一般内科と専門医としては糖尿病、腎臓内科、透析を行っています。在宅医療も取り組んでおり、看取りもやっていますので、一般、専門、在宅、の三本柱で事業を行っています。

大西: では腹膜透析(PD)との出会いについてお聞きしたいのですが、PD(腹膜透析)を始めたきっかけはどのようなことだったのでしょうか。

宮崎先生: 研修から東海大学にいたのですが、私が大学院にいた時に、ちょうど日本の腹膜透析の勃興期と言いますか、東海大学と慈恵大学がPD(腹膜透析)患者さんの数を競争していた時期がありました。

その時、一般研修といいますか、いわゆる腎臓内科医としてのPD(腹膜透析)の研修を受けさせていただきました。その頃は腹膜炎が多かったですね。

その後、長崎に戻ってからは、腹膜硬化症というものがあり、そちらの対応研究に関わりました。昔は酸性液で腹膜透析を行っていましたので、腹膜が非常に硬くなる病気がありました。そのために、患者さんが非常に苦しんでおられた姿が忘れられません。

腎炎で基礎的な実験を行っていたのですが、それを腹膜の方にも応用できないかということで、どうやったら腹膜が固くならないか、腹膜が固くなるメカニズムを研究する機会を得ました。

そして、ちょうど開業と同時に、「在宅でPDをやっている患者さんがいるんだけど…」と相談を受けたのです。長崎には在宅ドクターネットと言って、在宅を診るドクターの集まりがあり、そこからの相談でした。

その患者さんは在宅酸素をやりながら通院できないという方でした。伺うと非常にお元気な方で、なんとか自宅で診ることができるようなシステムということでPD(腹膜透析)を始めたというのがきっかけになります。

大西: 腹膜透析に出会って、色々な取り組みをされていると思いますが、腹膜透析の良いところ、メリットはどのようなところがあるでしょうか。

宮崎先生: 腹膜透析は在宅医療の一環と言いますか、透析を在宅(家)でできます、という特徴があります。そのため、昔は、働きながら透析できる、ということが大きなメリットでした。

もちろん血液透析も働きながらできるのですが、在宅であるいは職場でも透析ができ、勤務時間をそれほど削らなくても良い、という若い人のための透析だった時代が長くありました。

ところが現在の高齢化社会は、団塊の世代が全員後期高齢になるのが2025年で、高齢人口のピークが2040年と言われています。そういう人たちが透析に入っていくことになるわけですが、彼は当然ながら色々な病気を持っていらっしゃいます。

具体的には、心臓、脳、あるいは呼吸機能などの病気で、なかなか医療機関に通えない方も多くなってきます。

血液透析のクリニックでは送迎サービスなどもあり、随分と透析患者さんも助かっておられるとは思いますが、「やっぱり血液透析をやった日はきついな」とか、グタッとしている方々も少なからずいらっしゃいます。

それに比べて、家で腹膜透析をやりますと、血圧が下がらないので、元気な方が多いんですね。

そのような状況を見ると、在宅医療としてのPD(腹膜透析) in 超高齢化社会と言いますか、そういう視点で透析をもう一度見ていく必要があるのではないかということで、在宅医療の中のPD(腹膜透析)というものを今非常に一生懸命、柴垣先生と仲間と取り組んでいるということになります。

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