医療DX⑨医療ITマネージャー育成の必要性

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医療DX⑨医療ITマネージャー育成の必要性

[おうちで透析 インタビュー 医療DX⑨]

  • 医療法人明洋会 理事長 柴垣 圭吾 様
  • 医療法人明洋会 IT担当 臨床工学部 統括部長 市川 匠 様

聞き手:

  • 医療コンサルタント 大西 大輔(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)

大西: 経営者の立場で医療IT担当者をもう一人募集するということは、これから必要だと思いますか?

柴垣先生: 病院やクリニックの規模にもよると思うのですが、医療IT担当者は必要だと思います。それが難しいようであれば外部コンサルタントに頼むしかないと思います。ただ正直、ITと医療の橋渡しをできるという事になると、そんなにいないですよね。

大西: 柴垣医院では、そのような人材育成を市川さんがリーダーになってやるべきでしょうし、本来はリンクアという組織(ICT化による医療現場の改革促進を目指す一般社団法人)がやらなければいけないのだろうと思います。

医療とITの橋渡しをする人材育成に、いよいよ着手しなければいけないと思います。

柴垣先生: そうですね。そこに大きなニーズがあります。

大西: それをしないとこの国は本当にやばいところに行きますよね。

市川さん: 実際の問題として、情報系の事故というのは、医療に限らず、大体ヒューマンエラーです。システムに侵入されました、というケースは全体から見るとそれほど大きな割合ではありません。

多いのは、この間もどこかの市役所でありましたが、個人情報を持ち出して酔っ払ってカバンを置き忘れてしまいましたとか、差してはいけないと言われているUSBメモリーを差してしまいましたとか、持ち帰って仕事してはいけないと言われているのに持ち帰ってしまいましたとか、そういう事故です。

そのような事故があった時に、仕組みとしてどう対応するかということを考えることは必要なのですが、それは病院の上の方の人間が考えることです。

医療現場の人たちに対しては、情報を取り扱うということはどういうことなのか、仕組みを動かすシステムを扱うということはどういうことなのか、という教育をしない限り、多分事故は減らないと思います。

現状のままでは、うっかりやらかす人たちが出てきて、その都度色々と仕組みを整えても、やっぱり駄目じゃないか、ということになってしまうと思います。それがどんなに危なっかしいことなのか、ということですよね。

よくカフェなどで優雅にパソコンで仕事をしている人たちがいますが、何かNDA(秘密保持契約)に触れそうな情報を平気でいじっている人たちがいます。

また在宅勤務のスタッフが電子カルテを移動中の電車の中で打っていたら、個人情報が丸見えな訳です。

当院も口を酸っぱくして言っています。そのようなことをやっていないと信じたいですが、忙しかったらやってしまうかもしれないな、という心配は常にあるわけです。

電車の中の人たちは当然赤の他人で、個人情報など興味がないと思う一方で、何かあった時にこれがとんでもないことになるんだという意識は持たなければならないと思います。

そういったことをコンサルタントの人たちに言われても、多分なかなかピンとこないと思います。

そういう意味で、病院の中では、情報処理担当者というよりは安全管理責任者みたいな人たちにもっと足を突っ込んできてもらって、お互い色々なところで情報共有しながら、もっと「教育」しつつ、「仕組み」を整えていく、という両輪が必要なのだろうなと思っています。

ですから、人を育てるところを仕事にしたいと考えると、IPA(情報処理推進機構)が作っている「情報処理安全確保支援士」のような資格を医療寄りに作り替えて、専門職種のようなものができると、そこに意識が向いてくるのかなと思います。

大西: 医療情報安全の本であったり、育成の仕方であったり、個人情報保護(医療版)であったり、そういったことの整備があまりにも遅いように思います。

医療情報安全ガイドラインがありますが、読みこなせるかというと難しいので、「マンガで分かる医療情報安全ガイドライン」のようなものが必要ではないかと思います。

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