正木先生インタビュー⑦おうちで透析という選択肢〜腹膜透析を支える仲間達〜

透析に通うのがツライと思ったら
透析に通うのがツライと思ったら

正木先生インタビュー⑦おうちで透析という選択肢〜腹膜透析を支える仲間達〜

文字サイズ

正木先生インタビュー⑦おうちで透析という選択肢〜腹膜透析を支える仲間達〜

[正木先生インタビュー⑦おうちで透析という選択肢〜腹膜透析を支える仲間達〜]

  • 正木医院(京都市) 医師 正木 浩哉 様

聞き手:

  • 医療コンサルタント 大西 大輔(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)
  • 医療法人明洋会 理事長 柴垣 圭吾 様

大西: パイオニアとして活動される正木先生のお話を伺って、HD(血液透析)からPD(腹膜透析)へのシフトをもっとサポートする活動が重要だと思いました。

血液透析の先生方とお話をすると、これまでずっと患者を集めて、適切に管理をして、治療していくことで収益を上げてきたモデルが、段々と成り立たなくなってきているということが分かります。

収益が悪化していく中で、新しいことを始めるにはすごく勇気が必要なのだと思います。今のお話をお聞きして、「一歩踏み出してみようとすることで、きっと未来が分かれる」と言っていただけることで、腹膜透析を始める先生が増えるのかなと感じます。

正木先生: まさにおっしゃる通りです。私は今、HD(血液透析)のクリニックで、初めてPD(腹膜透析)を始められたクリニックの先生をサポートしています。

その先生は女性の院長先生ですが、私の話を聞いて、どうしても腹膜透析を始めたいと、おっしゃっていただいて始めることになりました。今は何人かの腹膜透析の患者さんを対応されていて、看取りもされています。

その先生は「腹膜透析をやって良かった」とおっしゃってくださっています。経営的な面ではなく、患者さんが最期に家に帰れて、本当に喜んで最期を迎えられたからだそうです。

その患者さんは 病院に入院してHD(血液透析)をされていたのですが、腹膜透析をすることで家へ帰れて、慣れ親しんだ院長先生の訪問診療を受けることができました。そして最期に「先生ありがとう」と言って亡くなっていかれたそうです。

そういう経験をされて、その院長先生は「本当に腹膜透析をやって良かった」とおっしゃってくださっています。経営的な面だけではなく、患者さんのためになる一つの手段だと思います。

私は何も、最期は腹膜透析にして、お家で亡くならなければいけない、などと言っているわけでは決してありません。

希望される患者さんにはそういう選択肢を提供できるように、我々医師としては努力する必要があり、そのような仕組みを持っておくのは、やはり大切ではないかと実感しています。

大西: 最後に、これから腹膜透析を始める方や腹膜透析についてまだ知らない方々に対して何かメッセージがありましたらお願いします。

正木先生: 日本ではまだ腹膜透析の患者さんは3%しかいないですし、腹膜透析をされている医師も少ないし、訪問看護ステーションも少ない状況です。

つまり仲間が少ないわけですが、でも、仲間がいないわけではありません。今全国各地で、腹膜透析の地域医療連携というのを立ち上げる動きが本当にたくさんあります。

この前の日本透析医学会の演題でも、かなりの割合が腹膜透析であったり、腹膜透析と地域医療連携であったりしました。そのような時代です。

腹膜透析を始められるときは、ぜひそういう方々から仲間を探していただければと思います。

例えば、私も今、柴垣先生と一緒に「在宅腹膜透析を支える会」という会を運営しております。こういう会に入っていただけると、いろいろな悩み事であるとか、いろいろな疑問であるとか、経営的な問題などを、相談できる仕組みを用意しています。

ぜひ、そういうものをお使いいただいて、腹膜透析を始めていただければ、私は嬉しいなと考えております。

大西: ありがとうございます。とても勇気を頂く言葉でした。

関連記事
イメージ動画を見る