電子カルテで負担軽減! 〜デジタル化に対応する力を〜
電子カルテで負担軽減! 〜デジタル化に対応する力を〜
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電子カルテで負担軽減! 〜デジタル化に対応する力を〜
[対談]
- 柴垣 圭吾 理事長(医療法人社団明洋会 柴垣医院)
- 大西 大輔 医療コンサルタント(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)
大西: 私は先生がそんなにITが好きだと思っていないんです。ただ今は、スタッフのお陰もありますが、システム化して楽になるならどんどん取り入れようというマインドだと思います。
柴垣: 私は全くコンピューターやITに詳しくないので、逆に言うと素人目線から楽をしたい、という目線で見られるところが良いのだと思います。今さら勉強もできる歳じゃありませんし、調度いいのかなと考えています。
大西: 経営的に考えると「費用対効果」と言いますが、デジタル化したことで十分時間が短くなりましたね。
柴垣: はい、トータルで考えると全然違うと思います。
大西: 今は(透析の入れ替えが)2回転じゃないですか。いずれは3回転とかに増やしていける。(IT化することで)その隙間時間みたいなのが全然違いますね。
柴垣: IT化以前とは全然違います。
大西: 入れ替えがとてもスムーズになっていますね。
柴垣: 本当にスムーズです。紙でやっていたらとても無理です。
大西: 看護師さんが泣きますよね。以前は、機械に登録をして、また紙に書いていたんでしょ。診療の度に書類を書いて。書類を書いていないと怒られて。
柴垣: 医師の指示を全部紙で拾わなきゃいけないんですね。今はそういう事一切ありませんから。
大西: 確かに。二重登録をほとんどしていないですもんね。
柴垣: はい。もう一気通貫のシステムですから。
大西: 透析システムに入力して、それが電子カルテに転記されているだけですもんね。昔は透析システムに入れて電子カルテじゃなくて紙だったのだから。
柴垣: 今は指示も最後にA4で一枚打ち出されるだけです。間違いもないしめちゃくちゃ効率的なんですね。
大西: それは効果ありますね。
もう一つ先に進みたいんですけど、在宅でカルテを外に持ち出して、電子カルテを使いたいということで在宅用の電子カルテを入れたじゃないですか。あれもやっぱり必須ですよね。もしあれを現場で入力しなかったら、紙に書いて打ち直しなんですからね。
柴垣: あとはですね、我々は急な往診依頼を頼まれるわけですけど、その度ごとにもし紙だったらえらいことだった。
大西: カルテは外にいたら探せないですよね。
柴垣: 我々は、今はそうやって電子化して携帯型の電子カルテを使っているので、緊急往診する際、向かっている最中に全部情報を見られるわけです。
大西: 先生は車の中でもカルテが見られるし、アシスタントさんがいればその人にカルテを打ってもらえばいいし。ある意味、医師のメインの仕事じゃないですよね、紙を一生懸命書くこと。
柴垣: 今までは書類作成がかなり在宅医療で大きな部分を占めていたんですけど、今後もう国自体がデジタル化を進めるという話になると、ハンコもいずれなくなるわけです。でも、デジタル化に向けた準備をしているところでないと対応ができない。
大西: いずれは処方箋がなくなる(電子処方箋)、紹介状もなくなる(電子紹介状)。領収書、明細書も多分なくなる。私は、この三年が勝負だと思うんです。例えばハンコをなくしましょうと言った時に、もう既に領収書のハンコはなくしてもいいっていう風に言われていて。でも処方箋にいちいちハンコ押しているんです。
柴垣: 全く意味のない事ですよね。
大西: 受付の人が、〇〇先生ハンコ下さいって、何やっているんだろうって。
柴垣: 全く意味のないハンコですよね。
大西: 電子カルテで承認ボタンを押したらこれでハンコの変わりですもんね。
柴垣: でも、急速に変わる可能性はありますね。本当に、国自体が紙を許さないという風になると、ガラッと変わるんじゃないかと。
大西: 今回思ったのが、新型コロナの様々な申請で、紙をなんとか無理やり止めようとした流れもありましたよね。デジタルで受け付けると早くなると。
柴垣: 今後、新たなコロナみたいなウィルスのパンデミックを考えた時に、そこまでにちゃんとできるかどうかですよね。中国とか他のデジタル先進国でやったような対応が日本でできるかどうかですよ。
大西: ここでやっぱり考えなければいけないのが、デジタル化に対応する力というのを、どう養えばいいのか。例えば先生と私もそうですけど、やっぱり情報アンテナをすごく高めておいて、今先生が取り組まれている遠隔モニタリングという話であったり、多職種間でコミュニケーションにzoomを使ったりとか、色々やられているじゃないですか。先生は、チャレンジスピリッツが相当強いと思うんです。普通のドクターは一日一日必死に生きているから、なかなか難しいところもあると思うんですよ。どうすれば良いのでしょう。何かアドバイスするとしたら。
柴垣: 当院も最初は「どうしたらいいの?」という所から、一つ一つの積み重ねをしていきました。だからどこの国の、どこの医療機関でも通用するようなマジックはないわけで、一個一個デジタル化を進めるごとに成功体験を積み重ねて、「こんな楽できるんだ」と医療機関のスタッフ全員が感じることができるようになるとどんどん進んでいくんじゃないかと思います。全員がやる気にならないと、デジタル化は進むわけはないですから。