透析医療の在宅シフトとデジタル化 〜医療・介護でデジタル化が進まない理由〜

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透析医療の在宅シフトとデジタル化 〜医療・介護でデジタル化が進まない理由〜

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透析医療の在宅シフトとデジタル化 〜医療・介護でデジタル化が進まない理由〜

[対談]

  • 柴垣 圭吾 理事長(医療法人社団明洋会 柴垣医院)
  • 大西 大輔 医療コンサルタント(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)

大西: 今の若い人達は「デジタルネイティブ」と言われているのですが、スマホが当たり前、パソコンが当たり前、テレビではなくてYouTubeを見ている世代です。この人たちに(問診票などの)紙を渡すとすごく嫌がります。このあたりも多分、時代変わってきているのではないかと思います。

柴垣: そうですね、僕も嫌ですから。いまさら紙カルテなんて、もう勘弁して欲しいと思います。

大西: 今はスマホで漢字を調べていますからね。紙カルテも嫌、紙問診も嫌、紹介状も嫌ですよね。

柴垣: 嫌です嫌です。

大西: 先生はよくおっしゃっていますね、「字が汚くてごめんなさいね」と。どうしてそんなに気を遣わなければならないのかと思ってしまいます。

柴垣: 僕の世代ですらデジタル化の成功体験を経験してしまうと、もう後戻りできないんですよね。

大西: 本当に。役所に行っていろいろな書類を手で書くのがうんざりです。

柴垣: 銀行で口座を作るときもあんなにハンコを押すのはありえない。ですから、もう僕は銀行はかなり厳しいと思います。

大西: 保険も多いですよね、書く所。

柴垣: 彼らも相当変わらないと世界の流れには付いていけないと思います。

大西: デジタル化を進めるという時代が来た時に、一歩踏み出す勇気がないといけない、というよりは、僕はもうよろめいてもいいから、転んでもいいからやってみるべきだと思います。やらないと分からないことが山ほどあるんです。

柴垣: 医療界の人は、ITを使うことをイコール罪悪だとやはり思っています。こんなことは個人情報保護やセキュリティ上ありえない、と。だから、デジタル化はありえないわけですよ。 個人情報どうするの、セキュリティ担保されているの、と憂えるわけですが、それは国が心配すればいい事だと僕は思います。

大西: 実際、セキュリティや個人情報保護が何かもあまり理解してないかもしれません。

柴垣: 僕に言わせると、指摘は全然的外れなんですね。

大西: 例えば私の住所が出ましたって言うのであれば、私と住所を切り離せば良いだけです。

柴垣: Facebookにみんな自分の情報を載せる、Instagramに自分の写真を載せる、一方で個人情報を保護しなければならないという問題があります。もちろん個人情報は担保しなければいけません。その点は分かりますが、これはテクノロジーで乗り越えられるわけですよね。でもそこを乗り越えられることが分かっているのに手を着けたくないんですね。ですから仕事をしない理由付けになってしまっています。

大西: 変わりたくない理由ですね。

柴垣: 変わりたくない、やらない理由になってしまっていますね。やれるんです。

大西: 本当にそう思います。やれるのにやらないのは、やっていないだけですね。

柴垣: 私共はクラウドで「申し送り」ということを行っているのですが、「クラウドで申し送りをやっています」と医療関係者、介護関係者の前で言うと必ず手を上げて質問してくる方がいらっしゃいます。それはセキュリティ上いかがなものかと。ただ、現在はすでに、医療もレセプト情報とか全部オンライン化されているわけです。

国はセキュリティ上そういったものを使わないかというと、使うんです。国が使うのに医療介護関係者が使わない理由は全くありません。

大西: 情報の責任は国にあり、ルールを決めるのも国だし、制度を作るのも国。それに則れば担保されるから誰にも責任は無い。

柴垣: 我々はそれに向かっていて、明らかにデジタル化は国の方針として進むわけです。進まないということはもうありえませんので、そこに対して我々は準備をする。これが国民としての義務だと私は思っています。

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