透析のお金③医療保険 or 介護保険 腹膜透析でかかる費用事情

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透析のお金③医療保険 or 介護保険 腹膜透析でかかる費用事情

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透析のお金③医療保険 or 介護保険 腹膜透析でかかる費用事情

[おうちで透析 インタビュー 透析のお金③]

  • 在宅医療特化型運営コンサルタント 社会福祉士 横森 美和 様

聞き手:

  • 大西 大輔 医療コンサルタント(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)

横森さん: (東京都の場合)もう一個ご紹介をしたい助成の話があります。これは「心身障害者医療費助成」(マル障)と言って、身体障害者手帳に関連するものです。年齢や所得で加入できるかどうかの審査はあるのですが、もしこれを取得できると、透析に限らず医療費の自己負担が助成され、所得に応じて「一割負担」になります。

普段私たち若い方は三割負担で医療を受けているかと思うのですが、このマル障があると「一割負担で良い」ことになります。これは外来の場合、月1万8000円が上限です。もしくは、所得に応じて「自己負担なし」というような心身障害者の助成金もあります。

これも取っておいていただけると、例えばかぜの時とか、全然透析とは関係がないときでも身体障害者の方で「マル障」がある方に関してはサポートされます。そういう助成の制度があるので、こちらも併せて取っておいていただけると良いですね。

大西: 本来、先ほどの助成に関しては人工透析、腎臓病に関する助成だったけど、これは医療全般の助成と考えて良いのでしょうか?

横森さん: そうですね。身体障害者だけでなく様々な障害の方に関して、年齢や所得など色々条件はあるのですが、取得すると医療費に対して補助があります。

大西: これは是非取得したほうが良いですよね。当然風邪を引くでしょうし、他にも、転んでしまったとか、そういう時も使えるということですね。

横森さん: はい、ただ加入要件の例外がとても多いんです。例えば、もちろん所得がある人は普通に保険で払っていただくことになりますし、生活保護の人はそもそも生活保護でまかなわれているので負担はありません。あと、高齢者になって初めて対象要件になった人は、このマル障ではなく、高齢の方のサービスになるので適用外です。

また、引越しが多くて65歳前に申請ができなかった、という場合もあります。この場合、申請できる場合もあるので、行政に確認していただく必要があります。このように様々な要件や例外があります。窓口で確認してもらい、申請できたらしてもらいたいと思います。

以上の話は東京都の場合であって、マル障の要件は全国で異なります。例えば、所得の要件とか、65歳以上の人が取れるか取れないか、など異なります。また自己負担に関しても、「一割負担の人と自己負担なしの人がいる」と話しましたが、他県に行くと「全員自己負担なし」というような県もあったりします。そのようなわけで、上記はあくまで東京都の場合ということで、東京都以外の人はどのような制度なのか窓口で聞いてもらえると良いかと思います。

こちらはマル障の受給者証になります(動画参照)。「80」から始まる公費になっています。すごく事務的な話になりますが、こちらに80137と書かれていますね。この部分の最後の一桁の7が、7か6かによって自己負担のありか無しかが分かります。医療事務の方は、「ああ80136持っているな」とか、「7持っているな」ということで判断することになります。

大西: ちなみに「13」は東京都ということですか?

横森さん: そうです。「13」は東京都で、「80」が公費の法別番号となります。透析のクリニックにかかる時、「透析だからこれは関係ないかな」と思わずに、「マル障」も取れたのであれば、マル障も併せて出すと良いかと思います。

大西: その他に何か補助できるもの、してもらえることなどはありますか?

横森さん: はい。実はそれ以外にもいろんな事があります。これを一個一個話していくと深い話になってしまうので、今回は概要だけお伝えします。

まず一つが「自立支援医療」という部分で、更生医療です。必要であれば申請してください。この更生医療ですが、透析に関してだけ言うとマル長が優先になったり、所得制限もあるので、使わない事が多いかも知れないのですが、使った方が良いケースや別の病気があるかも知れないので、この申請もしておいた方が良いと思います。

大西: これは認知症とか、例えばうつ病の患者に自立支援があるかと思いますが、あれとはまた別なのですか?

横森さん: それは、「精神通院医療」と言って、更生医療ではないんです。〇〇医療という区分分けがあり、透析の患者はそのうちの更生医療というものに当てはまるという感じです。

それからもう一つ、透析になる理由で「指定難病」をお持ちの方は、指定難病の申請も行えます。指定難病の申請も忘れずにしてください。これも医療機関から「あなたは指定難病だから難病の申請出せるよ」などという話がありましたら、申請していただくと良いかと思います。

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