透析透析における震災対策②震災に備えて、透析患者は何を準備しておけば良いの?

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透析透析における震災対策②震災に備えて、透析患者は何を準備しておけば良いの?

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透析透析における震災対策②震災に備えて、透析患者は何を準備しておけば良いの?

[おうちで透析 インタビュー 透析における震災対策②]

  • 柴垣医院 臨床工学部 統括部長 市川 匠 様

聞き手:

  • 医療コンサルタント 大西 大輔(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)

市川さん: また、例えば薬の供給が止まることが想定されていますので、普段お飲みになっている薬などを備蓄しておかなければいけません。

これは患者さん自身の問題ではなく、医療施設側の問題ですが、医療材料の供給等も不安定になる可能性が非常に高い状態になりますので、災害用の医療資源などの備蓄をどのように担保していくのか、あるいは配送が不十分な状況下で、どのように物品を調達するのか、といった準備が必要になってくると考えられています。

大西: この(透析)条件は、実際に患者さんは普段から知っているものなのですか。

市川さん: そうですね。比較的しっかりとした方であれば、毎回透析の度に患者様と我々スタッフとで条件の確認等のすり合わせをするので、特に重要な条件というのは覚えていらっしゃる可能性が高いと思います。

ただ正直なところ、十人いれば十人違うというのが現実で、全く頓着していない方もいれば、うろ覚えの方もいますし、透析患者様の高齢化が進んでいるので、ご自身ではあまり理解されていない方というケースも考えられます。そのため、患者さんご本人が避難先でスムーズに情報を伝えられるかというと、難しい面があるかなと考えております。

大西: 例えばお薬手帳みたいなものに条件が書かれた紙が挟まっていれば、少なくとも伝えることはできますね。

市川さん: 多くの透析施設で「透析カード」というものをお渡ししています。こちらのカードあるいは透析条件表というものには、透析に関わる様々な情報が記載されています。

避難してきた透析患者さんを受け入れる施設側が、こちらの情報をもとに支援透析を行うことになります。当然100%いつも通りの治療条件ができるとは限らないわけですが、例えば「これは使ってはいけない」とか、逆に「これはどうしてもこの通りにやってほしい」ということは書かれていますので、そういった情報をもとに透析条件を設定することになります。

患者様側でそういった物も災害備品の中に準備していただくというのが、スムーズな支援透析を受ける一つのポイントになると考えております。

大西: 支援透析についてですが、東京都でかなりのレベルで透析患者がいわゆる透析難民になった場合、受け入れ先としては東北地方あるいは静岡県などで、受け入れることは可能なのでしょうか?

市川さん: 「可能にしなければいけない」というのが現実的なお答えになるかと思います。

ざっくりとした数で言うと、東京都の透析患者数は、2018年の段階で約3万人いらっしゃいます。また、埼玉県と千葉県の透析患者数を合わせた数が約3万人いらっしゃいます。神奈川県が東京都よりは少ないのですが、2万人いらっしゃいます。

そうすると東京近県だけで、5万人の方がいて、もしその方たちが通常透析を受けている施設が8割ぐらいの稼働率で動いているとすれば、あと1万2千人ぐらいは受け入れる余裕があるという計算は成り立つと思います。

ただ、それでも東京都の3万人というのを受け入れるには、不十分な数ですので、先程お話があったようにもっと被害のない、かつ透析の受け入れ施設数の多いところに集団で避難していただく、ということになるかと思います。

この東京都の3万人全員を関東近県ではなく遠方に送るとなった場合、受け入れられる場所はなかなかありません。多分多くの地域に数千人ずつ分散して引き受けていただくという形になるかと思います。

この数千人であっても、各エリア、例えば仙台であるとか大阪であるとかという視点で見たときに、そういう都市部でも、元々数千人から数万人の患者さんを抱えているので、普段の2割増し位になった状況を受け入れられるのかというと、相当な努力が必要となると思います。どうにかしなければいけないのですが、なかなか予断を許さない状況にあると考えています。

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