透析における震災対策③災害に対する透析患者様の危機意識について

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透析における震災対策③災害に対する透析患者様の危機意識について

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透析における震災対策③災害に対する透析患者様の危機意識について

[おうちで透析 インタビュー 透析における震災対策③]

  • 柴垣医院 臨床工学部 統括部長 市川 匠 様

聞き手:

  • 医療コンサルタント 大西 大輔(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)

市川さん: (震災時の透析難民受け入れについて)予断を許さない状況にあると考えています。

大西: それで透析ネットワークのような災害時のネットワークを今作ろうとしているんですね。このネットワーク構想というのはどのようにできたのですか。

市川さん: 元々は透析の医療従事者側からスタートしております。日本透析医会が大規模な災害時の共助の部分を担うために「日本透析医会災害情報ネットワーク」というものを作ったものが母体となっています。

それから各地域に広がって共助のネットワークができあがってきて、それぞれが相互に提携して協力しています。そこに行政などの仕組み加わり、さらに連携してより強固なものを築こうとしているというところですね。

ネットワーク自体はもうできあがって結構な年数が経っていますので、ある程度のところまでは進んでいるのですが、まだ誰もが経験していない規模(の震災)になるだろうと考えていますので、その場合に果たして他の通常の被災者の相手もしながら、十分機能するのかというところに関しては一抹の不安要素があります。

我々は患者様にお話をする時に、最初からそういったシステムに頼り切るのではなく、まずは「自助」、ご自身の身はご自身で守っていただくというところをしっかりと考えていただいて、その上で「共助」や「公助」を考えていただくといい、と話しています。

大西: その中で患者さんの意識についてお話を聞きたいのですが、実際患者さんに、例えば今回の「新型コロナ」の感染拡大のときに、もしかしたら透析施設が閉鎖になるかもしれない、あるいは送り迎えができなくなるかもしれない、ということを話されたとき、どんな印象でしたか?

市川さん: 通常の患者さんと同じで反応は十人十色ですね。ものすごく敏感に反応されて心配されて、すごく慎重になる方もいらっしゃれば、「まあ、なったらなったときだ」みたいなスタンスの方もいらっしゃるのも事実です。

その受け止め方は非常に様々だと感じています。ただ医療施設側は万全を期して準備して参りますので、その中である程度のルールというか、制限には従っていただく必要性がありますので、そちらに関しては少なくとも協力いただけているという印象です。

大西: 血液透析(HD)に比べて腹膜透析(PD)の方が災害に強いというお話を聞くのですが、その理由はどんな所にあるのでしょうか?

市川さん: まず一つには、血液透析の場合は、必要な欠かせないものが多すぎるということです。

電気、ガス、水道、この3つのインフラが1つでも途絶えると、透析を続けることができません。それから医療資材等の供給が十分になされるのかどうか、あるいは(病院や医院の)スタッフも同じように被災しますので、スタッフの欠員が出てしまうと十分に治療できないケースも考えられます。

また、今コンピュータ等の利用も進んでいますので、インターネットが途絶するというようなことによっても、通常通りには動かせない可能性も考えられます。

一方で、腹膜透析の治療というのは医療機器を使ったものもありますが、原理としては基本的に手動で治療を行うことができますので、震災に遭われた後もご自宅の状況がある程度被害が少なくて、医療資材の備蓄さえあれば、備蓄が尽きるまでの間はご自身の手で普段通り治療の継続が望めるということが言えると思います。

それから新型コロナのようなケースを考えますと、外に出る、移動するということが感染リスクにつながるわけですけれども、当然腹膜透析はご自宅での治療ですので、そういった感染リスクというものもなくなります。結果的に災害に対して自宅で治療する手段は非常に強みを発揮すると言えるかと思います。

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