医療DX④ 徹底議論!クリニックデジタル化へのプロセス①

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医療DX④ 徹底議論!クリニックデジタル化へのプロセス①

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医療DX④ 徹底議論!クリニックデジタル化へのプロセス①

[おうちで透析 インタビュー 医療DX④]

  • 医療法人明洋会 理事長 柴垣 圭吾 様
  • 医療法人明洋会 IT担当 臨床工学部 統括部長 市川 匠 様

聞き手:

  • 医療コンサルタント 大西 大輔(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)

大西: 次の話をしていきたいと思います。「デジタル化を進めましょう」と国は言っても、どのように進めるの、というのが現場の本音だと思います。

例えば、将来電子カルテの情報を標準化しますよ、と言うけれど、電子カルテすらもこの透析の業界は普及していません。

少し振り返って、柴垣医院では15年くらい前に「電子カルテを始めるぞ」と先生たちが意思決定して進められてきたと思いますが、どのように実施してきたのかということをみなさん知りたいと思います。

2人で思い出して欲しいのですが、ちなみに、どちらから言い始めたのでしょうか?

市川さん: 多分、やると言い始めたのは柴垣先生ですね。

柴垣先生: DXやIT化というものは、私は全然分かっていなくて、とにかく楽をして効率化しなければならないという思いだけはありました。そのためにはIT化というのもありなのではないかと、ただ漠然と思っていただけです。

それを具体化したのは、当院で言うと市川さんですね。要は漠然と思っているだけでは進みません。ですから、他の医療機関でIT化が進まない理由はよく分かります。自分がそうですから。そこを具体的にどうこうする、ということを分かっている人がいないと、なかなか難しいだろうと思います。

大西: 電子カルテの導入に関しては、透析の世界ではかなり遅れていると僕は思っています。でもレセコンは入っているわけですよね。透析の管理システムも入っているはずなので、あと少しなのに、その少しを乗り越えられない理由というのは、市川さん、どう思いますか?

市川さん: そうですね。一つには、先ほどの話にも通じるのですが、やると決めたらお尻を決めて断固たる覚悟でやり切ることかなと思います。

その時に、変化についてこられない人たちをどうするのか、という議論は必ず発生します。そのような人たちを助けるという考え方は、すごく優しいとは思うのですが、必要以上に手厚くしてしまうと結局IT化が進まなくなってしまいます。

そこで私達としては、猶予期間を与える形を取りました。ただそれは、年単位のような甘いことではなく、「2ヶ月後にはもう紙をなくします、紙での仕事はできなくなります」というような方法で切り替えました。

その事前準備や移行期間に関しては、手厚くサポートする代わりに、「これを覚えられなかったら、すみませんがもう当院では仕事をできなくなってしまいますので、覚悟を持ってやってください」という決断は皆さんに事前にお願いするという形を取りました。

後は電子カルテ商品の問題にも取り組みました。日本のパッケージ化されたプログラム商品にありがちな形として、医療系のことを少し知っている開発者が使いやすいようにしか作られていなかったり、システムの構造的な問題で管理する側がやりたいような、要はベンダーが作りやすいようにしか作られていないようなものが多くありました。

今はだいぶ違ってきましたが、一言で言ってしまうと、当時はUI(ユーザーインターフェース)が悪かったんですね。パソコンを使い慣れている私のような人間が、ポイッと渡されたら別に苦もなく使えるものではありました。ただ、大学病院にいる時もそうだったのですが、UIが悪いと、触る人、触らない人がはっきり出てきます。

特に看護師さんである程度年齢のいった方であるとか、もう最初から「パソコンが苦手です」と言っている人たちは、書類を山積みにして「はい、これを入力してください」みたいな感じで持って来てしまうわけです。

私達としても仕事をためるわけにいかないので、処理してしまうと、結局特定の人たちしかできないとか、基本的な機能は使えるけど使い切れない、というようなことがやっぱり起きました。

当院は猶予期間もそうですが、準備期間として半年ぐらい開発者に対して、ものすごいダメ出しをしました。それはバグみたいなこともそうですけど、UIに関してもそうです。看護師さんたちのレベルを最低レベルで考えてもらって、例えば「銀行に行ってATMでお金を下ろせる人だったら使えるくらいのレベルにしてもらわないと駄目ですよ」と。

色も白黒で、数字が小さくてたくさん並んでとなると拒否反応を起こしてしまうので、「ポップなカラーにしてボタンとかは可愛くしてください」みたいなことまで全部お願いしました。それぐらいやらないとなかなか取っ付きにくいんです。

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