宮崎先生インタビュー⑤腹膜透析の普及に向けて②〜保険制度の問題〜

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宮崎先生インタビュー⑤腹膜透析の普及に向けて②〜保険制度の問題〜

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宮崎先生インタビュー⑤腹膜透析の普及に向けて②〜保険制度の問題〜

[宮崎先生インタビュー⑤腹膜透析の普及に向けて②〜保険制度の問題〜]

  • 宮崎内科医院(長崎市) 院長 宮崎 正信 様

聞き手:

  • 医療コンサルタント 大西 大輔(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)
  • 医療法人明洋会 理事長 柴垣 圭吾 様

宮崎先生: 腹膜透析(PD)の認知度を上げるにはどうすれば良いかということですが、一つは保険制度の活用があるかと思います。

厚労省が腹膜透析(PD)に対して保険点数を下げずに、腹膜透析(PD)をやったこと、あるいは、腹膜透析(PD)の説明をしたことによって保険点数を付けるようなことを実施してきています。

医療は保険制度によって大きく変わってきますので、診療報酬をどのように呼び水にしていくかということは、一つ大事なところだと思います。

ヘルパーさんを利用した場合、その分何かが減るけど何かがプラスになったりすれば、また大きく変わってくるかなと思います。

また、ご高齢の方を実際見ているのは、プライマリケア、いわゆるかかりつけ医のドクターです。腎臓病の場合、次第に患者さんの腎臓が悪くなって、ギリギリになって、「透析してくださいよ」という形で導入病院に送ることになります。

ここで、プライマリケアの先生方も、患者さんの症状がガクッと悪くなる前から腹膜透析(PD)の準備をしたりできれば、腎臓の状態が落ちずに、患者さんがそのまま生活ができるような透析ができます。

このような形を目指して、現在、プライマリケアや在宅医療連合学会の中でも、合同シンポジウムなどが組まれるようになっています。

かかりつけ医、プライマリケアの先生方への普及と、そこから草の根運動的に、「あ、こういうこともできるんだ」ということを説明していくことが必要かと思います。

また、訪問看護ステーションがそういうことを知っていると、訪問看護側から「先生、PDというのがあって、非常に良い場合もありますよ」という意見が出る可能性もあります。そういう状態を作ることができれば腹膜透析(PD)が広がるのかなと思います。

ですから、保険点数で基幹病院の先生方の考えを変えながら、草の根運動的にかかりつけ医の先生への説明を行っていければと思います。

それから、訪問看護ステーションは非常に熱心なところも多いので、訪問看護と一緒に組みながら、腎機能が悪くなった場合には腹膜透析(PD)を紹介したり、ご希望があり、できるのであれば導入してあげる、ということができると良いと思います。

「ガン患者さんで腎臓も悪く、血液透析も行っているのだけれど、1ヶ月、2ヶ月と血圧が下がってきて、できなくなってきた」というような場合でも、PDを使った選択肢を提案できるかと思います。

自宅で看取ることができる透析によって、患者さん及びそのご家族の心身共への負担を軽減できるのは、やはり腹膜透析(PD)の特徴だと思います。そういったものを普及するのは大切かと思います。

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