透析が必要になるのはどんな人? -腎不全・糖尿病性腎症・腎硬化症-
~樋口 千恵子 医師(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

透析に通うのがツライと思ったら
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透析が必要になるのはどんな人? -腎不全・糖尿病性腎症・腎硬化症-
~樋口 千恵子 医師(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

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透析が必要になるのはどんな人? -腎不全・糖尿病性腎症・腎硬化症-
~樋口 千恵子 医師(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

透析になる患者は、どのような患者が多いのでしょうか。

日本透析医学会の「2018年末の慢性透析患者に関する集計」によると、もともと「慢性糸球体腎炎」と呼ばれる、血尿や蛋白尿が出てくる症状、いわゆる「腎炎」が多かったことが分かります。ところが、この腎炎はいろいろな治療法が進んでおり、今はかなり腎不全になりにくくなってきています。

逆にどんどん増えているのは「糖尿病性腎症」です。糖尿病の患者さんが増えてきていますし、糖尿病が重症化してくると腎障害も併発してきますので、現在日本では「糖尿病性腎症」の患者さんが一番透析になる原疾患としては多いことになります。

また、「腎硬化症」という、高血圧や加齢などで起こる病態が増えてきています。現在、わが国は高齢社会になってきていますので、腎硬化症の患者さんがだんだん増えてきていて、透析治療が必要になる患者さんの3番目になっています。

透析にならないためにまず注意しておきたいことは、何かありますか。

腎臓病がわかった段階で、まずは腎臓の専門医にかかり、適切な治療を受けていただくということですね。治療としては、「食事療法」だったり、「薬物療法」だったりというものを行います。これらの治療は、一時やれば良いという治療ではなくて、一生かけて行う治療なので大変ではありますが、根気よく続けることで、腎機能が悪化するのを防ぐことになります。残念ながら現在の医療では、腎臓病を治すという治療法は見つかっていません。そのため、一旦腎臓が悪くなってくると元には戻りにくいのです。腎障害の進行のスピードを遅くするという治療がメインになってきます。

腎臓の機能が正常から低下しても、中度の段階で、生活改善なり食事療法や薬物療法を行えば維持ができるし、これ以上進行しないということですか。

実際、維持ができれば良いのですが、多くの方々は維持がなかなか難しくて、少しずつ腎機能は悪くなっていきます。ただ、治療を行う患者さんは治療を行わない患者さんに比べると、腎機能が悪化するスピードはかなり違ってきますので、治療を根気よく続けていくということが重要になります。

腎機能の悪化は、健康診断で、どの数字を特に見ておけば良いですか。

健康診断ですと、「クレアチニン」の値を確認してください。クレアチニンの値と、性別、年齢から、「eGFR」は算出できます。健康診断の結果を見るとeGFRは大体書いてあると思います。そのほか、尿の「アルブミン」もしくは「尿蛋白」という指標も重要です。尿のアルブミンや蛋白が出てくると腎臓が悪いという指標になりますので、蛋白が少しでも出ていたら、とにかく専門医に診てもらう必要があります。

腎臓が悪いかどうかを判断する時は、泌尿器科、腎臓内科など、どの科を受診すればよいのでしょうか?

A. 腎機能が悪くなってきている、eGFRが悪くなってきているという場合には、腎臓内科を受診してください。また、eGFRの値が悪くなくても、蛋白尿が出ていたり、血尿が出ている場合も受診が必要です。これらも腎障害の一つの目安となります。そういう尿の異常があった場合には、できれば最初に腎臓内科に行っていただいた方が良いと思います。

泌尿器科は腎臓の中でも、主に見ているのは腎臓の腫瘍だとか、結石などを見ている科で、腎機能障害というのは腎臓内科の専門領域になりますので、まずは腎臓内科で調べてもらって、泌尿器科的な疾患があるのであれば、そこから泌尿器科に紹介してもらえると思います。できれば、最初に腎臓内科に行かれた方が良いかと思います。

泌尿器科と腎臓内科の違いは患者さんの立場では分からないのではないでしょうか。腎臓内科に行かないと見落としが起きてしまうなどということは考えられますか。

泌尿器科の先生ですと、例えば蛋白尿が出たり出なかったりする初期の段階の場合に、出ていなければ「出てないからもう大丈夫」と帰されてしまうことが結構あります。しかしながら、腎臓の専門医は、初期段階では蛋白尿が出たり出なかったりするということがわかっていますので、何回か検査を継続して行っていきます。そして、時々出るのか、それともずっとやっぱり出ていないのか、運動した後だけ出るのか、など、そういう細かい検査を行っていきます。そこは「餅は餅屋」なので、腎臓専門の内科・腎内科医のいるところを受診するのが一番良いと思います。

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