在宅医療・腹膜透析の需要増加が予想される社会 ―臨床工学士における在宅への仕事の職域拡大―
~市川 匠 臨床工学部門長(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

透析に通うのがツライと思ったら
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在宅医療・腹膜透析の需要増加が予想される社会 ―臨床工学士における在宅への仕事の職域拡大―
~市川 匠 臨床工学部門長(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

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在宅医療・腹膜透析の需要増加が予想される社会 ―臨床工学士における在宅への仕事の職域拡大―
~市川 匠 臨床工学部門長(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

血液透析から在宅(腹膜)透析への流れがある中で、今後、臨床工学技士としてどのような可能性があるのか、仕事の変化をどのようにイメージされますか?

血液透析だけではないのかもしれませんが、やはり基本的には在宅医療という流れは避けられないと思っています。時代のニーズそのものがそういう時代にシフトしており、これはもうすでに始まっていると思っています。

世界の諸外国と比べると、日本の場合、透析だけにおいて言えば、OECD主要国と比較した時に、血液透析に対する依存度が非常に高く、腹膜透析のシェアが異常に低い、というのが特徴です。そのため、血液透析の医療レベルは非常に高い。これは正直なところ、医療資源が潤沢にあった時代であれば、施設にお任せして色々と社会資源を使って良い治療をするということが十分可能であったと思われます。しかしながら、これからの日本社会の場合、状況が変わってきており、社会資源がそれほど使えないというような状況が加速度的に進んでいく中で、諸外国並みに腹膜透析のシェアを増やす必要があると思われます。また、現在後期高齢者が増えていますので、通院そのものが困難になるケースが今まで以上に出てきます。そのような点でも、入院したらもう自宅に帰られなくなる、ということを避けるためにも、在宅への仕事の職域というのが広がっていくと思っています。

今までの在宅診療のイメージは、縁側に座りながら「お変わりないですか」「血圧ちょっと今日は高めですね」などという会話をしながら行っているイメージがあったかもしれません。対して、今後は、比較的高度な医療を必要とする人たちが在宅に溢れるということが容易に想像がつきます。医療機器が今現時点でもどんどん在宅に増えているものの、それらをしっかりと管理できているかというと、現実的にはまだまだ残念な形になっているケースがあります。医療事故も起きています。

我々臨床工学技士は医療機器を扱う専門家ですので、臨床工学技士がもっと在宅のフィールドに出て行き、医療機器を積極的に管理する必要があります。血液透析から腹膜透析にシフトしていく中で、医療機器を管理する人が在宅にいることで、今まで退院できなかった方が「それなら、お家に帰れるよ」となるのは社会の必然的な流れなのではないかと感じています。

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