医療DX⑤徹底議論!クリニックデジタル化へのプロセス②
医療DX⑤徹底議論!クリニックデジタル化へのプロセス②
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医療DX⑤徹底議論!クリニックデジタル化へのプロセス②
[おうちで透析 インタビュー 医療DX⑤]
- 医療法人明洋会 理事長 柴垣 圭吾 様
- 医療法人明洋会 IT担当 臨床工学部 統括部長 市川 匠 様
聞き手:
- 医療コンサルタント 大西 大輔(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)
市川さん: 他の老人病院さんなどにコンサルティングのような形で呼ばれて行ったときに、電子カルテになぜ抵抗感を持つのか、というような話になりましたが、何か具体的なことが明確にあるわけではないんですね。
最初から苦手だと思っているだけで、触ってみれば絶対変わるはずなのですが、その最初のところで「もう駄目です、私たちできません」と言われてしまいます。これをいかに「いえいえ、そんなことないですよ」と最初に思わせられるかということが多分一番のキーポイントではないかと思います。
冒頭で述べたように、後は期限を切って、覚えないといけない、とどこかで追い込んでいかないとなかなか新しいことは定着しないのかなと思っています。
大西: 私も二人の行動を見ていたときに、今から多分10年以上前ですが、透析管理システムと電子カルテに繋がらないからシステム開発会社を誘致して、完全ペーパーレスを実現したいという話をしたかと思います。
あのあたりも柴垣医院様で「紙をなくす」という意思決定をして、それに対して僕たちコンサルタントにいろんな手段をお話されていたので、僕らからすると何の問題もない訳です。揺れていませんので。
要はリーダーがやると決めて、IT責任者が期限を決めて設計をされていました。後は僕は選ぶだけだったので、コンサルタントとしては後戻りがないので、不安がない訳です。でも、他の医療機関からするとリーダーがやると決めない、IT担当者いない場合もあります。
そのような場合はどうするのでしょうか。
柴垣先生: 結構厳しいですよね。多くの医療機関ですと、結局ITのシステムを入れても半分はそのシステム、半分は紙のままかと思います。
絶対に紙を撲滅するという固い決意をして、もうペーパーレスでやり切るんだ、という気持ちでないと、大抵は、やはり紙がなくなるのはセキュリティ上の問題がある、とか、様々なデータが消えたりすると怖いから残したい、ということで紙も残り、結局は仕事が2倍になって残ります。
ですからほとんど意味がありません。様々なシステムを入れても、システム間連携がないので、必ず誤入力が発生しますし、効率化になりません。完璧にシステム間連携をした上でペーパーレスにする、これをやりきる、という決意がないと最終的な目標である効率化には全く寄与しません。
大西: そこが柴垣先生の良いところで、全体像を見ていらっしゃると思います。しっかり市川さんに一任されています。パソコンが好きなドクターではないかと思いますが、分かっているドクターですので、IT担当者がやりやすいと思います。
パソコン大好きな先生が自分でゴリゴリ作って「オレできるよ」という形だと、やっぱり担当者が育たないかと思います。ある意味、一任させてほしいと思います。
市川さんは元々IT担当者で入っているわけではなくて、技師として入っているわけですけが、「市川さんよろしく」と言われたときにどのような感じでしたか?
市川さん: 正直なところ、私自身はできるかどうか確信はなかったのですが、やること自体には全く抵抗感はなかったです。ただ、私と同じような技士のような立場の人間を100人集めてきても、多分そういうスタンスで受け入れられる人間は正直なところ2、3人いれば良い方ではないかなと思います。
私の場合、元々情報処理などもかじっていたので、全然抵抗感なくできました。大学にいるときも結構それっぽいことをやって、部門の中で使うソフトウェア見たり、いじったり、解析したりなどやっていたのでスムーズに入れたのです。
正直なところ、IT担当者の重要なスキルというか資質みたいなものは、いわゆるシステム屋さん達としっかり話をできるか、つまり、通訳のような形で間に入れるかどうか、ということだと思います。