腹膜透析に関わる一看護師の想い―自分の希望を実現できる在宅医療の為に必要なこと―
~森田 智子 看護師(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

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腹膜透析に関わる一看護師の想い―自分の希望を実現できる在宅医療の為に必要なこと―
~森田 智子 看護師(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

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腹膜透析に関わる一看護師の想い―自分の希望を実現できる在宅医療の為に必要なこと―
~森田 智子 看護師(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

今後の在宅医療や、腹膜透析について、森田さんの考えをお聞かせください。

自分自身としては自分のことは自分でできる元気なお年寄りにならなければいけないなと思います。それが不可能になった時のことを考えると、不自由になった自分がこうしたい、ということを叶えられる社会にしていかなくてはいけないと思います。お年寄りや患者さんが「迷惑をかけてはいけない」と誰かに気を遣って生活するのではなくて、彼らの「自分がこうしたい」を叶えられる社会にしていけたらいいですね。それには生活や介護、医療ということが本当に自宅で可能になる、もう少し楽しい「在宅医療」ができたらいいなと思います。

寝たきりになったりとか、在宅医療が必要になったりした瞬間に暗くなってしまいますよね。せっかく国が在宅医療を普及しようとしているのに、どこか「迷惑をかける」という考えがあるのはつらいですね。

そうですよね。だからそのために、自分自身の死生観というか、今生きていることと自分が死ぬまでに考えていかなければいけないことというのも、自分自身のこととして一人ひとりが考えていかなければならないと思います。自分がどう生きて、どう死にたいのかということを、きちんと教育できる時代になっていけば良いと思います。

介護になってごめんね、在宅医療受けてごめんね、という考えは変えたいですよね。

そうですね。いろいろな在宅医療を受けている患者さんを訪問させていただいた中で、「旦那には色々自分も守ってもらったから私がやるのが当然です」と言っていた患者さんの奥様の言葉を聞いたことがありました。そういうのを聞くと、やはりその人が歩んできた歴史などをすごくまざまざと見せつけられるような感じがあります。みんながお互いに尊重しあい、思いやれる世の中になったらいいなと思います。

自分がどうしたいのかということを本当に素直に実現できる世の中になって欲しいと思います。そのためには、恐らく相手に何かを求めるのではなく、自分自身が変わらなければならないのだと思います。現状では、様々な家族関係があるので、患者さんがこうしたいと思っても家族が無理と言ってしまえば実現が難しく、私たち医療従事者も踏み込めないところがあります。ですが、私自身の周りに関しては、自分がしたいことをできるような環境づくりを行っていきたいと思います。

我が国の医療も「社会が支える」ことが重要な世界になってきていますね。

やはり、みんな歳を取るわけで、今後は高齢者が大多数を占めていくような世の中になっていくので、自分も元気なお年寄りでいなければいけないなと思います。けれども、もし医療や介護が必要になった時のことを考え、自分がどうしたいのかをきちんと周りの人に伝えておいて、それが実現できるように自分自身も準備をしていくということはやはり必要なのかなと思います。

森田さんは看護師になりたいと思ったのはいつくらいですか?

私は小さなころから、看護師になるものだと思っていたんですよ。私はキャンディキャンディを見て看護師になろうと思いました。両親は特に医療関係者ではなかったのですが、私のいとこが看護師だったので、私は看護婦になるのだとずっと思ってきました。自分のやりたいことをしてお金をもらえているというのは自分自身の中ではありがたいと思っています。

実際に看護師になってみて、キャンディキャンディの世界と違うところはありますか。

小さい頃に思っていたのとは、少し違う感じがありますが、やはり人間と人間が心を通わせる仕事ということは同じかなと思います。キャンディが偏屈じいさんを看護をして変えていく、という話がすごく印象に残っていて、そういう人間性みたいなものを試されるような仕事だなと思っています。私の中では、人と触れ合っていたい、というのがすごくあるのかもしれません。

私は、大それた何かを提供するのではなくて、単純に患者さんが話すことで楽になるようなことがあればいいなと思っています。また、私たち医療者は、患者さんがどんな生活を送ってきた人なのか、どんな人生を送ってきた人なのか、というところに寄り添っていかないと良い医療というのはできないのかなと思っています。

子供の時に描いていた「人に寄り添っていきたい」、「人の、誰かの役に立ちたい」という想いが今実現されていて、好きなことを仕事にできていて、私は幸せだと思います。

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