血液透析(腹膜透析)との関わりについて―臨床工学技士と患者との生涯におけるお付き合い―
~市川 匠 臨床工学部門長(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

透析に通うのがツライと思ったら
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血液透析(腹膜透析)との関わりについて―臨床工学技士と患者との生涯におけるお付き合い―
~市川 匠 臨床工学部門長(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

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血液透析(腹膜透析)との関わりについて―臨床工学技士と患者との生涯におけるお付き合い―
~市川 匠 臨床工学部門長(医療法人社団明洋会 柴垣医院)インタビュー~

市川さん、まずは自己紹介からお願いします。

臨床工学技士になって今年で27年目となります。臨床工学技士の業務というのは、主に心臓・人工心臓といわれる循環器の領域、呼吸器・人工呼吸器などの領域、代謝領域(透析はここに当てはまります)、それから医療機器を中心に扱う人、と、大雑把に分けると大体このような区分になります。

私はそれら全般を行いつつ、主に血液浄化領域に従事してきました。急性期もかつては行っていましたが、現時点においては慢性期の、いわゆる血液透析を中心とした業務を行っています。そのため、四半世紀のキャリアのほとんどを、主に透析を中心に行ってきたということになります。

透析に出会ったきっかけはなんですか。

血液透析に関しては、私が臨床工学技士の学校を卒業した25年くらい前、学校の求人を見ると、血液透析の施設が半分くらいを占めている状況でした。当時は、一般的に華やかに思われる手術室に入るとか、集中治療領域へ行くという道も当然あったので、私自信も総合病院、それから大学病院に入りました。

ただその中で、一つのものを突き詰めてやりたいと考えました。満遍なくローテーションで業務をする技士も多いのですが、それだと全てが中途半端になってしまう可能性もあると思いました。私にとっては突き詰めたい領域が血液浄化の領域であったということになります。そのような流れで、血液浄化の領域に自然と足を踏み入れることになりました。

一般的には、血液浄化の領域に関わっている臨床工学技士というのが一番多く、技士の中でも一番多くのシェアを占めている領域です。いわゆる透析クリニックの仕事をイメージした時に、例えば手術とかと比べると、そんなに大した仕事ではないのではないか、というイメージを抱かれがちです。しかし、実際関わってみると、極端な話、その患者さんがお亡くなりになるまでずっと一緒に2日に1度お付き合いをするという治療なので、他のどんな職場よりも患者さんとの関係性が非常に濃い医療現場となります。そう言ったところに自分たちが学んだ技術・知識を動員することで、関わる患者さん達が少しでも「楽になったよ」とか、「こういう風になったらいいなと思っていたことが現実的になったよ」と言っていただけることの喜びというのはすごく大きいですね。

かつて手術室に入っていたこともありますが、手術室に入ってくる患者さんは意識がない状態で入ってきて、(手術の)成功か失敗かで、あとは出て行かれるだけです。その先をあまり見届けることがないので、なかなかその患者様から直接的な感謝の言葉をいただけるといったことはありません。手術室と透析、どちらが良いということではないと思うのですが、そのような違いはあります。

私はそういう意味では、血液透析の領域に関わって患者さんと向き合うということが、医療の本質に非常に近いところにいるのではないかと考えて、これを生涯の仕事にしていこうと思って今に至ります。

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