腹膜透析へのシフトはなぜ遅れているのか? 〜透析医療の在宅シフトとデジタル化〜

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腹膜透析へのシフトはなぜ遅れているのか? 〜透析医療の在宅シフトとデジタル化〜

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腹膜透析へのシフトはなぜ遅れているのか? 〜透析医療の在宅シフトとデジタル化〜

[対談]

  • 柴垣 圭吾 理事長(医療法人社団明洋会 柴垣医院)
  • 大西 大輔 医療コンサルタント(MICTコンサルティング株式会社 代表取締役)

はじめに

わが国では、急速に「超高齢社会」が進んでおり、それに伴う医療費の高騰懸念により、長らく政府は医療費抑制のために地域包括ケアという「在宅シフト」を進めてきました。また、超高齢社会は生産人口(15歳~64歳)の減少を引き起こし、今後働き手不足が深刻になることが予想されています。そのような状況の中、「働き方改革」が急ピッチで進められています。働き方改革に伴う、「生産性向上」を求める動きは、長引くコロナ禍で加速したように感じます。たとえば、在宅ワークやオンライン会議、オンライン学会なども当たり前に行われる時代となりました。

また、「医療DX」の掛け声のもと、デジタル化、自動化、省力化に注目が集まり、多くの先進的な取り組みが発表されています。

今回は、「透析医療の在宅シフトとデジタル化」というテーマで、医療法人明洋会の理事長柴垣圭吾先生とMICTコンサルティングの大西大輔氏に話し合っていただきます。

大西(敬称略):まず最初に少しお話をしていきたいのが、透析医療の在宅シフトというのが非常に今注目されています。どうしてなかなか進んでいないのか。現状は、在宅透析が2.7%で、残りはすべて施設で行われる血液透析となっています。なぜ、在宅透析(腹膜透析)が進んでいないのでしょうか。

柴垣(敬称略):今までは腹膜透析というものが高齢者に適用があるものだという認識が医療全体に無かったことがひとつ大きいと思います。通院が月1~2回で済む腹膜透析は、元気に歩ける方を対象とした医療として行われてきたという経緯があります。そういった意味で、今まで高齢者への医療、これは地域包括ケア政策の一部にもありますが、そういった視点からの腹膜透析というものが考えられてこなかったことがひとつ大きいと思われます。

それから今後の課題になるかと思うのですが、医療と介護の間に一定の壁があって、そこがなかなかうまくいかない。多職種連携とか、地域包括ケア連携という形で言われてはいますけど、必ずしも透析医療において上手く連携が取れているとは言い難いのです。

また、従来の血液透析中心の透析医療というものがあまりにも定型化されたものであったために、腹膜透析という形でのイレギュラーな対応がむしろ難しかったという側面も大きいかと思います。

大西:透析医療と一般医療は、結構違うと思います。例えば、外来医療が在宅医療に進むという時に、約10万件のクリニックのうち、約2万件が在宅に進んでいる現状の中で、透析医療は恐らくほとんど進んでいない。透析医療は、「定型化された」、言い換えれば効率的に自動化された、非常に効率性の高い医療であったということが原因なのでしょうか。

柴垣:それは大いにあるかと思います。在宅医療は非常に骨の折れる、もっと言うと面倒くさい医療ですので、そこに手を入れるというのはなかなかハードルが高い。外来医療とは、全く違う仕組みであり、それは例えば介護保険と医療保険が組み合わさっているなど、全く違ったノウハウを必要とします。これまでの従来の一定の流れに沿った透析医療に慣れてる人たちが、そこに参入するというのはかなり大きなハードルがあると推測されます。

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